「ウィキペディアには『中華人民共和国において、農村から都市に出かけて就労する、農村に戸籍を持つ者をいう』と書いてあります。張旭梅の『中国農民工のネットワークとリスク回避』という博士論文には、建築業労働者の90パーセントが農民工だと書いてあります。」
「なるほど。それでは、アフリカに住み着いたのは、農民工だということになりますね。」
「おっしゃる通りです。」
「アフリカに住み着くほど、中国での生活はひどいのでしょうか」と町会長。
「おそらく、農民工として働く方が、農村で生活するよりましなのでしょうが、アフリカに行ってみると、アフリカの方が暮らしやすいことに気がついたとしか考えられません。」
「農民工の生活は、そんなにひどいのですか」と町会長。
「中国の産業を支えているのは農民工だと言われていますが、中国国家統計局によれば、2017年の農民工の数は2億8,652万人だそうです。そのうちの都市で働く1億3000万人ぐらいの農民工は、戸籍が農村にあるため保険が使えないと言われています。」
「社会主義の国なのに保険が使えない人がいるのですか。」
「おっしゃる通りです。」
「それでは、新型コロナウイルスに感染しても、医者には行けないということですか」と町会長。
「そう言われています。アフリカに定住しようとするくらい生活環境が劣悪だということでしょうね。」
「それでは、1億3000万人ぐらいいる都市の農民工が新型コロナウイルスに感染しても、中国が発表する感染者数には反映されないということになりますね」と町会長。
「おっしゃる通りです。中国では8億人の農民がいるそうですが、SARSが流行った2003年には、所得が低いのと医療設備が脆弱だったため、医者に行く人はあまりいなかったようです。」
「現在は、どうなっているのでしょうか。」
「国際農村医学会の理事をしている張自寛の論文には、『全国の郷村医者数は約90万人で増えてはいないが、裸足の医者はいなくなり、靴を履くようになった・・・医学学歴を有する者が次第に増え,医師の補佐資格も取得するようになった』というレベルのようです。」
「先ほど言われた『アフリカで起こっているようなこと』というのは、中国の農民8憶の中に感染者が出ても、中国が発表する感染者数には現れないということですか」と町会長。
「おっしゃる通りです。」
2020/2/23
